最近、割とコロナ禍における権利意識は高いのかな、と思っていたような方々を含めて、「改憲して緊急事態条項が創設されると人権制約し放題!」みたいな煽り投稿や言説が散見されます。ゆえに自民党による憲法改正、緊急事態条項の創設には反対しよう!と。
しかし、まずそもそもそれってどの改正案を指して「反対」してるの?
2012年の自民改憲草案てそもそも現時点で自民党が提案する案として生きてるんでしょうか。
少なくとも今国会で憲法審査会で議論されてるのは2018年のたたき台です。
このたたき台で取り上げられているのはいわゆる「4項目」で、
⑴ 9条に自衛隊明記
⑵ 緊急事態における政令制定権限と議員の任期延長
⑶ 合区の解消
⑷ 教育の無償化
の4つです。
憲法改正にあたっては、「憲法改正原案」というのを提出・審議し、憲法審査会で可決してから各院にかけていわゆる「3分の2」の議決をとります。
この憲法改正原案として自民党が議論しているのは上記2018年作成の4項目であり、2012年の自民党憲法改正草案ではありません。岸田首相も、憲法改正についての公約にはこの「4項目」と特定してます。
その上で、現在有効な憲法改正原案候補たる2018年たたき台における緊急事態関係改正案は①法律に代わる政令制定権限と②議員の任期延長であり、①はもうすでに新型インフル特措法でやりたい放題なわけで、事実上②の議員の任期延長が改正案。
もうわかりますよね、これを通したら人権制限し放題、というのは明らかな誤導です。
しかも、2012年の自民党改正草案ですら、緊急事態条項に該当する条文がすべて通ったとしても、ワクチン強制できるだの、下手したら逮捕できちゃうだのなんてことはどこを読んでもそうは読めません。
盲目的に「緊急事態条項反対」と叫ぶ人たちは、今国会の憲法審査会や自民党のたたき台を読んでいってるのか?(読んでないことは明らか)
アーカイブで見れますし、是非見てから言ってください。
私は2012年自民党改憲草案にも2018年たたき台にも不十分すぎて全く反対ですが、それに対峙する人々の誤導と陰謀論的な非論理的煽りがひどすぎるので、ちょっと釘を刺したく書きました。
コロナ政策禍に批判的だった人たちでは、自由や法の支配、そして論理によって批判的なんだと思ってましたが、違うんか――――――い!!!
追伸;
今週の動画配信、「倉持麟太郎のクソ素晴らしき世界」では、稲田朋美氏と対談し、自民党内での憲法論議がどの程度「温まっているのか」等聞きつつ、緊急事態条項の話も。
稲田さんとは男系・女系の点とかまったく反対のところもたくさんありますが、緊急事態条項については、公共の福祉で全部やっていいのか?緊急事態にでも制限されない権利を明記すべきでは?という問題意識を共有できていることがわかり、それは収穫でした。
違うところはあっても、一人でも多く、憲法議論に影響を与えうる人々を説き伏せるのか懐柔するのか論破するのかはわかりませんが、理解者を増やしていくしかありませんね。
そんな今週のクソすば、後半だけでも、是非ご覧ください!
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